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March 24, 2006

大草原の稜線を歩くコース

中学生の時、夏休みの林間学校で山中湖に行きました。1日目に何をしたか、どんな宿舎に泊まったか、2日目に何をしたかなんてことはほとんど思い出せません。夜になって、五合目から頂上まで続く光の点線(富士登山者の懐中電灯の灯りのつながり)を見たこと、それに、左に山中湖を見ながら草原のようななだらかな山をハイキングしたことだけ覚えています。
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話しは現代に戻ります。
今週の3月21日(火・春分の日)に山伏峠から入って石割山を経て大平山まで縦走して来ました。タンネの森の中を2時間ほど歩くと、視界が開けてカヤトの大草原の道となりました。フカフカの土の道で足にやさしくて歩きやすかったです。昼すぎてちょっと霞んだ空の下、左手側の眼下に山中湖があって、お風呂屋さんの大きな湯船みたいに見えました。その湯船から立ち上がるように、笠雲をのせたでっかくて真っ白い富士山が見えました。富士山は進行方向正面にずっとずっと見えていました。
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中学生の時に歩いたコースと同じだと確信しました。時を経て記憶に残るような素敵なコースを選んでくれた私の中学時代の先生達に感謝します。そして、このコースを再度選んでくれた本山行(2006.3/21)の担当講師に感謝します。
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首都圏のハイキングコースで草原状の稜線を長くずっと歩けるような所はここしかないかも知れませんね。(J記)

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March 15, 2006

タカマタギ山の山スキー教室で鬼が笑う

ぼくの山の先輩に小泉共継という人がいます。現在、年齢は60歳を少し越えたくらいのはずです。
「エッ、アッ!」
もちろん今も元気で山に登っておられます。小泉先輩には山関係の著書や登山情報誌への寄稿が多くあり『東京周辺の沢(白水社)』の旧版や『奥利根の山と谷』などが有名です。
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大先輩すぎていっしょに山に行く機会はなかったのですが、所属する山岳会の集会で取り巻き連中の中に混じって小泉先輩の独特の語りを聞いたことがあります(トシヨリは何回も同じことを言いいます)。
曰く:「日本の山は、夏は沢登りで冬は山スキーだよ!」
・・・私としては、夏の沢登りには同感しますが、冬を山スキーだけにしてしまうのはもったいないと思います。山の様々なジャンルには冬が旬の物が多いからです。・・・
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『小泉共継の山スキー教室』というのが1984年の1月号と2月号の山と渓谷の登山教室インフォメーション欄に掲載されました。
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私もいくつか山スキー教室を行った経験があります。『上信・湯の丸山』『上越・高津倉山』『上信・四阿山』『上越・苗場神楽峰』『会津・駒ヶ岳』『岩手・松川温泉周辺』『秋田・乳頭温泉周辺』…などです。山スキーの教室というのはその運営が大変難しいのです。スキーで1分滑れば“遙か彼方”の先に行ってしまいます。一般募集の山スキー教室であれば参加メンバーの技術に差があるのは当然、それは、滑り降りる時に参加メンバー間の物理的な距離を広げます。そのことは精神的な距離をも広げてしまいます(上手な人は長い待ちがかかりイライラし、下手な人は長く待たせては迷惑と思い悲しみがつのります)。たぶんそんな理由からでしょう、翌年(1985年)以後、小泉先輩の山スキー教室の案内が山と渓谷誌上に載ることはありませんでした。そして、私の頭の中にはなぜか、小泉先輩が教室の山として選んだ『上信の高峯山』と『土樽のタカマタギ山』の名前がカラカラと回るように残ったのでした。
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『上信の高峯山』はベースに高峯温泉(標高2000m)を使って高峯山にピストンするというプランだったと推察出来ます。残念なことに、今、そのコースは、高峯山の頂上直下のわずかな部分を除いてスキー場になってしまいました。
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もう一つの『土樽のタカマタギ山』の方はどうかというと、これも、新幹線の越後湯沢駅が起点のスキーリゾート地として開発される予定でした。ところが、手前の松川集落まで来た所で開発の手が止まるという奇跡が起きたのです。スキー場に閑古鳥が鳴く昨今の現状だけでなく、関越自動車道路に近すぎて頻繁に通る車の走行音がうるさすぎるという逆手の理由もあったようです。ともあれ、今も、東京から一番近い雪深の地(新潟関越道を3時間、新幹線なら1時間)にある大斜面(中規模のスキー場が出来るほど)が手つかずで残っているのです。
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以下、私のタカマタギ山行です。上越特有の重たいドカ雪に阻まれて、登頂まで足かけ九年かかりました。
1996年2月末、南東稜(山スキー)/足首までのラッセル、東南東稜とのジャンクションまでで撤退。
1998年1月末、南東稜(山スキー)/膝上までのラッセル、南東稜に取り付き、尾根に上がった所で撤退
2000年3月中、東南東稜(山岳スノーシュー)/膝上までのラッセル、東南東稜と北東稜のジャンクションピークまで行き、体調不良のメンバーが出て撤退
2005年3月中、東南東稜(山岳スノーシュー)/膝上までのラッセル、東南東稜と北東稜のジャンクションピークまで行き、ジャンクションから先は堅雪の急斜面になっていて、アイゼンがなくて撤退
2006年3月12日、北東稜(山岳スノーシュー)/ラッセルなし、条件が良くて他に4パーティもいた。東南東稜の取り付き手前の尾根から北東稜をとらえ、タカマタギ山頂に到達、帰路は他パーティのトレースをツボ足でたどり、北東陵の末端まで下る。
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来年のことを言うと鬼が笑いますが、タカマタギ山での山スキー&スノーボード教室の案を作ってみました。請うご期待!(文:松浦)
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期 日 2007年3月10日(土)~11日(日) 
     *11日のみの参加も可能です。
日 程 10日…タカナミヒュッテ(古い友人の経営する民宿)泊で
          ゲレンデ練習
     11日…今年タカマタギを登頂した時のコースを使って北東
          稜に乗る。北東陵の小ピークを折り返し点にして、
          そこから各自のペースで下山
          *かってに滑べり降りて可
          *南東稜と北東稜の間を下るから迷わない
          *早く降りた人はワカンの研究をしながら待つ
名 称 深雪の山を楽しむ会
     *スキー&シール隊とスノーシュー&スノボー隊の二つ
       があってどちらか選択する。
用 具 スノートレッキングセット
     *山スキーとシールとスノーシューはTimtamの無料レン
      タルを利用
     *靴とストックとスノボーはタカナミヒュッテの有料レンタル
      を利用

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March 13, 2006

六本爪軽アイゼンの可能性

ぼくの職場にイトサンと呼ばれる人がいて。マラソンとスキーを趣味にしています。
「富士山の山頂からスキーで滑るのが夢なんです。」
と話されて、つい口が滑って、
「富士山なら、行ってもいいですよ!」
とぼくは言ってしまいました。イトサンが小躍りして喜んでいるので、その話しを進めるしかありませんでした。
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イトサンはスキーウェアは持っていたけど、山の道具は持っていなかったので、一緒に水道橋の「さかいや」という登山用品店に出かけました。イトサン用の登山靴とアイゼンを買うのが目的でした。イトサンは冬山用の登山靴を見てビックリ
「五万円以上しますね!」
それでもって十二本爪アイゼンを見てまたまたビックリ
「にに・・二万円もしますね!ハンパジャナッスヨ!」
なんて小さな声で言っておりました。
イトサンは、靴売り場に並んだ、裏出皮の登山靴(一万五千円、軽登山靴みたいなんだけどそう見えない)を発見して購入を決定、アイゼン売り場で六本爪の軽アイゼンを発見して
「これだ、これだ!」
とか口走りながら購入を決定しました。
『六本爪で大丈夫かな?でも富士山しか行かないのだから仕方ないよな!イザとなったらロープで確保すればいいや!』
と思って、ぼくは
「いいのがありましたね!」
と言って、イトサンの買い物をねぎらいました。
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1999年の4月29日、ぼくとイトサンの富士山スキー行当日がやって来ました。比較的緩やかな静岡県側、富士宮口から登って、富士山の最高頂点まで行きそこからスキーで滑り降りるという計画でした。イトサンは七合目から高山病の症状が出て、休憩の度に半分寝たみたい(イビキまでかいていました)になりながらも富士山の最高点(レーダードームの先)まで登りました。六本爪アイゼンでの登りは安定していて不安はまったく感じませんでした。山頂直下の測候所からオカマままでは斜面の幅が数メートルしかないのでスキーを履くことが出来ませんでしたが、オカマの淵から五合目までは(雪の無い所を所々歩いたものの)概ね快適に標高差千五百メートルを滑り降ることが出来ました。
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以来、六本爪軽アイゼンの可能性は高いとの予感を持っていました。でも、十二本と十一本と八本の三つもアイゼンを持っているぼくなので、わざわざそれを買うことはありませんでした。
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先週の3月4日、朝発で黒百合ヒュッテに宿泊して、翌5日に天狗岳を越え、西天狗を回って天狗岳西尾根を下るという山行(メンバー9名)に加わりました。六本爪軽アイゼンで参加したメンバーが一人(Yさん)いたので、興味を持ってその歩きを見ていました。初日の黒百合ヒュッテまでの歩きは、なだらかな登りで、道は時々凍ってはいましたが、アイゼンを装着することはありませんでした。時間があったので、ヒュッテの前の20~30度ある斜面でアイゼンワークのトレーニングをしました。六本爪アイゼンの性能が必然的に試されました。さすがに30度の堅雪の斜面になると雪面をグリップ出来ずにズルズルと滑っていましたが、やや雪が柔らかくて踏み込めば階段状にステップが切れてしまうような所では安定していました。二日目、朝6時30分に黒百合ヒュッテを出発、中山峠で右折して東天狗岳直下の急斜面の登りにかかりました。そこは30度ほどある雪の斜面ですが、先行者のステップがあるので楽勝でした。西天狗を越えてから百メートルほど続くノントレースの急斜面の下りも安定して下っていました。樹林帯に入ってアイゼンをはずし、唐沢鉱泉に下山(午後1時30分到着)しました。
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六本爪アイゼンでオーケーと言いたいのではありません。六本爪アイゼンは森林限界を越えない山で使うための道具です。それで、天狗岳は森林限界を超えた所にピークがあります。強い風が吹いたりホワイトアウトしたりカリカリにクラストしたりすることがあるでしょう。条件が悪かったらすぐに撤退するべきです。(J記)

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March 07, 2006

登山用品店でミエハル君になろう。

山の道具を買うときは考えられる一番良い物(合理的で妥当な物)を買うようにしています。もちろん、いきなり買うようなことはしません山で何人かが使っているのを見て、『科学的に考えてなるほどと納得してから、買います』。
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山の道具は値段が高い物が多いので、地道に節約してお金を貯めます。購入予定価格より2~3割増しまで、お金を貯めてから買いに行きます。ふところのゆとりが山道具選択のための科学的判断力を向上させるみたいです。
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登山用品店に行ったら店員さんに相談することなく目的の物をピンポイントでカート(カゴ)に入れてレジに直行します。登山靴だけは、いくつか履き比べる必要があるので2~3種類を指定出来るように準備します。
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登山用品店に行ってあれこれ物色する場合もあります。ホントはただ見るだけで帰れるようになりたいのですが、気が弱いのでそれが出来ていません。それでそういう時は、ガスボンベとかアルファ米とかメタとか選ぶ必要がなくて確実に使う物を買って帰ります。そういう物をカゴをに入れて店内を歩いている人を店員さんは初心者とは思わないみたいなので気楽です。
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『初心者と思われたくないとかなり本気で見栄を張っています。』
初心者と思われない秘訣は登山用品店に行って店の人に何も質問しないことです。何か質問したり、初心者であると伝えたりすると、この時とばかりにこれまで商品について一生懸命に勉強し、説明のトレーニングを積んできた成果を発揮すべくがんばってくれます。彼等は真心をこめて対応してくれて、それでもって売れ筋のいい感じの商品を勧めてくれます。そしたらよほど気が強くないかぎり、それを買って帰ることになっちゃいます。もちろん、その『勧め』はほとんどの場合は適切で的確です。でも、高い授業料を払うことになってしまうことがないわけではありません。たぶん、そういう思いをするのは一回では済まないでしょう。
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「何かお探しでしょうか?」
などと声をかけられちゃって、
「いえただ見てるだけですからお構いなく!」
とは言えなくて、
「○○なんですけど!」
と応じちゃったような場合は
『自分のやりたいことをきちんと伝える』
必要があります。例えば、
①アルパイン系の岩登りをやりたいと伝えないとキツキツのクライミングシューズを勧められます。
②ワンタッチアイゼンとそれが着く冬用の登山靴を使うような山が目標でひそかに燃えているとか伝えないと、セミワンタッチアイゼンとやや柔らかめの登山靴を勧められます。
③ゴアテックスの雨具の廉価版で充分だと伝えないと、カラフルでオシャレな感じの高いやつを勧められます。
④「寒いかしらなんて」言ったらシンサレート入りのアウターを勧められます。
⑤前開きスパッツでなきゃダメと伝えないと、横開きや後ろ開きスパッツの方が軽いし値段が安いよと勧められます。
⑥ザックだけでいいと言わないと、ザックカバーも一緒に勧められます。ザックカバーはブッシュに引っかかるとはずれますし、沢の水につかったら中はびしょ濡れです。ハイグレードハイキングや沢登りを目指す(我ら)若者登山隊のTPOには合いません
⑦勧められないけど、長さの調節出来るストックが多量に売ってるのを見て、
「ストックはいるんですか?」
なんて聞けばネジ式三段調節タイプを勧められます。ネジ式ストックはネジがトンと打つように体重をかけた時に緩む可能性があって危険です。ネジ式でない物“ボッチで止める式”にするかピッケルにすべきです。ダイイチ、無雪期の山だったらストックはいらないのです。静加重静移動で登り、側筋を使って下る技術を身につけてストックなしでかっこよく山を歩けるようになりましょう。ストックは我ら若者登山隊のTPOには合いません)。
⑦短いピッケルがほしいと伝えないと、必要以上に長いのを勧められます。(身長170センチのぼくで、50~55センチの長さの短いピッケルが使いやすいです。)
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無難なのはTimtamのホームページの『山道具のこと』を読んでから買い物に行くことです。それでもはっきりしなかったらTimtamに問い合わせのメールを送りましょう。
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<追伸>
ザックを選ぶのに困っています。サイドポケットがつけられるベルトが左右に二本ずつとピッケルがくくりつけられるホルダーが正面に二つあればそれで充分なのに、余計なポケットとかストラップと網とかがいっぱいついているんです。45リットル程度以下の小さなザックにウェストベルトなんていらないのに幅広で、厚いウレタン入りのそれが縫いつけてあります。ウエストベルトはハサミで切り落とせばいいのですが、本体とウェストベルトが一体化したデザインになっているのでバランスを崩してしまいそうで切れません。55リットル以上の大きさになると、さらにウェストベルトが太くなり、どれもこれも背中の大きさの調整機能がついています。その調整機能のネジとかベルトとかけっこう重いし、せっかく調整してもズレたりしてやっかいです。背中の大きさなど一度あわせればいいわけで、その後ずっと使うことのない機能を背負い続けなければならないのはつらいものがあります。二気室とかいうのもいりません。パッキングのじゃまになることの方が多いです。取り出す順番とか、上下左右の重さのバランスも考えてパッキングするわけですから二気室どころか横や下から荷物を取り出すためのサイドジッパーとかフロントジッパーもいりません。よけいな物をつけて3キロもの重さにザックがなっていることを嘆きます。より軽く、そしてシンプルイズベストの考え方をつらぬいたザックがほしいです。でも、そういうザックは現在みつけられないのです。(J記)

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