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April 13, 2006

レンタルワカンジキの研究記

地球温暖化に原因があるのでしょうか、あるいは数十年とか数百年スパンの天候の周期によるものなのでしょうか、ここ数年、12月の富士山に雪がほとんど積らない状態が続いて来ました。12月の始めに富士山の五合目での雪上訓練をして、正月の前後には雪山登山に出かけて行くというパターンでなくて、“ポストそのパターン”の時代となったと仮説が立てられる状況なのです。それで、我がTimtamの雪山教室は“2月の八ヶ岳の黒百合平周辺での雪上訓練から始めて、3月~6月の陽春の雪山に向かい、翌年の1月~2月の厳冬の山につなげるというシフトを行いました。
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3月の下旬から6月の雪は残雪です。それはザラメ状態になっていることが多いのです。それで“ツボ足”で歩いてもそんなに深くは雪の中にもぐりません。そのような残雪の山に行く場合には時として降る新雪や気温上昇に伴って変わったグズグズの雪に対応するためにワカンジキを携行することが多いです。厳冬期の豪雪の山では深雪の踏破力でスキーとスノーシューに問題にならないほどの差をつけられてしまうワカンジキですが、ちょっとしかもぐらないザラメ雪に対しては抜群の威力を発揮します。小さくて軽量で(しかも安価)すから、軽快に持ち歩けるのも利点です。
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今シーズン、Timtamで、レンタル用のワカンジキを本格的に整備することになり、なぜかぼくがその担当になりました。
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12月にレンタル用のワカンジキの選定のために登山用品店を訪れました。籐製のワカンジキ、ジュラルミン製のワカンジキでトップがスノーシューのように反っているタイプ、ジュラルミン製のワカンジキでトップが反っていないタイプの3種類が店頭に出回っていました。籐製のものはぼくの持っている20年前のやつに比べてワッパの部分が細く、中央にかけてある紐がゆるゆるしていて頼りない感じでしたしメンテナンスも大変なのでパス!、ジュラルミン製のタイプを2タイプ各2足ずつ購入して試用実験を行うことにしました。
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1回目の試用実験は谷川岳の雪洞泊体験教室の後で行いました(2月26日)。4人の人に上記4足のワカンジキを履いて天神尾根を歩いてもらいました。10分も歩かないうちにトップが反っていない方のワカンジキの締め具のベルトが緩み、再三にわたり締め直したりバックルの長さの調整を行うことになりました。トップの反った方も30分ほど歩くと締め具のベルトの不具合が発生しましたがこちらの方がワカンジキ中央にかかる2本のベルトや締め具のベルトが太いので不具合が発生するまでの時間的間隔が長かったです。とにかくきちんと中央の2本のベルトが靴の土踏まずの位置(以下、正規の位置)からずれないような締め具のベルトのかけ方バックルの位置等(以下、締め具)の調節の仕方の確立をしなければならないことがわかりました。
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東京に帰って、締め具の調節の研究を行いました。幸いぼくの古い籐製のワカンジキの締め具はぼくの靴によくフィットしていて、雪山での行動中にハズレたりズレたり(ずれても正規の位置にもどる)したことがなかったので、その古いやつの締め具のシステムを観察してみました。今年購入したワカンジキの締め具は“1本締め”、1本のベルトを3箇所のリングに通して最後にバックルで止めます。それに対して古いやつは“2本締め”、リングに通さないで前後2ヶのバックルで止めます。1本締めだと1箇所のリングのベルトの折り返しで1ミリ緩むと全部で3ミリ緩むことになり、ワカンジキがその分だけずれます。テコ(リン軸かな)の原理が働き、わずかなずれが小さな軸となり大きなワカンジキ全体が大きな軸となってベルトの緩みを増加させます。
『①ベルトを太くして2本締めにする。』のが良いとわかりました。
また、その古いワカンジキに靴の取り付けると、“後ろのバックルと後ろの中央ベルトをジョイントするベルト”と“後ろのリングと後ろの中央ベルトをジョイントするベルト”がどちらもほぼ垂直に立っていることがわかりました(ワカンジキの輪は水平にフラットに置いた状態です)。これが曲がっていると曲がった方向に靴が引かれるので、靴の土踏まずのくぼみから中央ベルトからはずれると、ワカンは正規の位置から大きくずれることになります。
『②締め具についている靴のかかと側に回るベルトの長さを前記の2本のベルトが垂直に立つように調節する。』のが良いとわかりました。
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2回目の実験を会津駒ヶ岳のスノートレッキング教室の中で行いました(4月9日)。実験代はぼくです。右足にトップの反り返っていないワカンジキ、左足にトップの反り返ったワカンジキを履いて、会津駒ヶ岳を往復するというものです。もちろんそれぞれのワカンジキには上記①と②の締め具の調整がしてあります。当日は深い所では大腿までもぐる激しいラッセルでした。登り下り共にワカンジキの締め具の不調はありませんでした。そして
『③トップが反り返っているいないはワカンジキの使い勝手に影響はない。』とわかりました。
数年前からのスノーシューの流行に追われて、ワカンジキにスノーシューに似せてトップの反り返りをつけたというのが真相のように推理されます。
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そういうわけで、Timtamのレンタルワカンジキによる(歩行中にそれがずれたりはずれたりすることのない)快適な雪上歩行が可能になったと自負しています。現在レンタルワカンジキは7足に増えています。(J記)

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