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November 24, 2006

漠然と願っている時にチャンスは向こうから?

大学受験用の参考書を主力商品にしているO社という会社がありました。高校生のころ(今から四十年前)、赤尾の豆単、新日本史の研究、数Ⅰの研究、シニア英和辞典なんていう本を使って受験勉強してたからぼくはO社のよいお客さんだったのです。O社の参考書の一番後ろのページにかかるブックカバーの本に挟まれた側に
「一冊の本の選択があなたの生涯を変えるかも知れない。」
というキャッチコピーが書かれていて、他社の参考書買おうかと迷ってもそのキャッチコピーに説得されて、ついついO社のやつを買ってしまうぼくだったのです。それでもって、参考書を一ページ目から読んで、いつも途中で挫折してしまうぼくでもあったのです。
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同じくO社提供の大学受験ラジオ講座という番組がありました。数学Ⅰの担当講師の勝浦捨蔵先生の放送内容がぼくは大好きでした。勝浦先生はくりかえし次の①~⑤のようなことを言っておられて、それで納得してぼくは、そのキャッチコピーの呪縛から逃れてO社の参考書を見なくなりました。
①参考書はあくまで参考にする書物です。詳しく知りたい所だけを抜き出して読むもので、始めから読む必要はありませ。参考書を始めから読んでたら時間がいくらあっても足りません。
②教科書かラジオ講座のテキストだけを勉強しましょう。あれもこれもやってはいけません。
③今日五つ覚えて、明日新しく五つのことを覚えても十のことは身につきません。明後日に七つ忘れてしまうからです。だから今日五つ覚えたら、明日また同じ五つを覚えるのです。そうすれば明後日には五つ全部が深くわかって覚えられます。
④新しいことをたくさんやるのでなくて今日わかった同じ問題を日を変えて十三回は繰り返してやってみましょう。そうして得た力が本物なのです。
⑤あせってはいけません、受験まであと何日でなくてあと何日もあると思うのです。あれもわからない、これも出来ないと悔やむのでなくて、ちょっとでもわかったことちょっとでも出来るようになったことを喜ぶのです。
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時を経てぼくは三十三歳になっていました(1983年)。学生のころからやっていた縦走登山に行き詰りを感じて山に行くのがなんとなくおっくうになっていました。そして、
「学生時代にあこがれだった、あの沢登りと岩登りがやりたいな・・・!」
となんとなくいつも思っていたのでした。夏の終わりごろの八月の日曜日、千葉の松戸駅前の本屋にフラリと立ち寄りました。趣味の本のコーナーあたりで一冊の本がぼくの目にとまりました。「沢登りの本」というタイトルです。1985年ぐらいから十年ほど続いた沢登りブームの波が松戸なんていうローカルな所まで来ていたんです。その十年のあたりは、日本登山体系・日本百名谷・東京付近の沢・関東周辺の沢・雑誌フォールナンバーなどが次々と出版され、わらじの仲間・浦和浪漫・梁山泊・トマの風などが沢登り分野で大活躍をしていた時代でした。
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ぼくはその「沢登りの本」を購入しました。赤木君という主人公が沢登りに行けるようになるまでの物語り中で技術を小出しに解説し、写真を一枚も使わずくっきりとした線で書かれたイラストで図解する手法で、面白くてわかりやすい内容でした。「沢登りの本」を数時間で読み終えると、縦走や藪こぎ経験が豊富だったぼくですから、『アーッ、わかった』という感じで“沢登りが出来る感覚”をつかんでいました。そして、それから二十三年もぼくは沢登り(冬は近郊の岩場ゲレンデで岩登り)を続けることになったのです。

もし「沢登りの本」を買っていなくても、ぼくは山には行っていたと思います。でも山の行き方は違っていたと思います。なぜかと言うと二十年以上も沢登りをして来た経験から言って「沢登りの本」は入門書としては群を抜く名著だと評価出来るからです。
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一冊の本がぼくの山登りを変えたのは事実です。
その本はわざわざ買いに行ったのでもないし、何種類もある中から選択したのでもありません。普段は山の本など置かない地方の小さな本屋に、そして、ぼくの前に偶然あったのです。願ってはいるのですがそんなには期待してないような時に、チャンスというのは来るものなのでしょうか?
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振り返ってみれば、ぼくの場合、進学、就職、結婚、子育て、介護、病気の治療・・・うまく行くように願って探し求め、けっこう真面目に努力してもチャンスはぜんぜん来てはくれませんでした。何の気なしに漠然と願っていると、なぜかチャンスが自分の前にやって来ていて、そいつに偶然のように助けられてばかりでした。(J記)

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November 15, 2006

シブかった、おぐら山

おくやまに もみじふみわけ なくしかの
  こゑきくときぞ あきはかなしき   (猿丸太夫)

 小倉百人一首の中のひとつ、平安時代の人の感性に、そうそうそのとおりと共感できるような御座(おぐら)山でした。フカフカの落ち葉を踏みしめて、そぼ降る秋雨の中を歩いている遠くから「キーン」ともの悲しい鹿の鳴き声がきこえてきます。カラマツの葉は黄色からサビ色に変わり、最後の輝きをみせて全山を飾っています。みんなで「フヮーッ」とため息をついてしまいました。浮世のアカを落として浄化された気分。こんな山を選べるシブいT講師に感謝。次回クリスマス・イブ、雪の八ヶ岳も楽しみにしています。(クリ坊)

Hama Hama1 Hama2 Tuika1 Tuika3 写真をクリックすると少し大きく表示されます。1枚目…御座山前衛峰、2枚目…御座山山頂の非難小屋にて、3枚目…長者の森からの登路の尾根、4枚目…復路の尾根から佐久側を撮影、5枚目…山頂の非難小屋前から撮影

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November 10, 2006

小冊子;話し方の練習用

1976年のこと、ずいぶん昔、ぼくはとっても若い26歳のほぼ新任の中学教師でした。その年、ぼくは放送委員会というのを担当していました。
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秋、私立のE女子高校というところが主催する中学生対象のアナウンスコンテストの案内が届き、NHKの現役アナウンサー二名が審査員と書いてありました。そのうち一人はあの森本アナウンサーでした。さっそく数人の生徒をコンテストにエントリーさせました。森本アナウンサーのサインがほしいという潜在的な願望がぼくを動かしたと言えます。動機が不純でしたから、どんな練習をしていいのか、何が得点の対象で何が減点の対象になるか、わかる努力が不足していました。
だから、・・・、申し訳ないことにコンテストに入選する生徒は一人もいませんでした。・・・ごめんなさい。
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アナウンスコンテストの数日後の夕方、ぼくはE女子高の放送部の顧問の先生をアポも何もなしに訪ねてアナウンスの練習方法を聞きに行くという暴挙に出ました。期せずして、S先生(年配)が出て来てくれて、E女子高の放送部の毎日の練習用に作った小冊子いただくことが出来ました。当時はまだ、私立高校より公立高校が上位の時代で、大学付属の有名私立高校を除くと、公立の落ち止めの位置に多くの私立高校は苦しんでいました。良い生徒を多く獲得するのは至上命令、だから、公立中学の教員が来れば、それがどんな若造でも、たとえ重要会議の最中でも、そして授業中でも、それを抜けて会わねばならないのが私立高校教員の側の立場だったと後になってわかりました。・・・ごめんなさい。
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次の年から、ぼくは放送委員会でなくて安全委員会の担当に変わりました。そして、それからずっと、アナウンスコンテストに参加することはありませんでした。
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先日、ぼくの家の本箱の中段の片隅でS先生からもらった小冊子をみつけました。30年たった今でも通用するものだと思います。以下に内容を転記します。中学教師だけでなくて、人に話しをする機会の多い方(含、アウトドアのインストラクター)はこの小冊子は役に立ちそうです。(J記)
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<話すことの10則>
1,声は人、まず人間としての完成を。
2,絶えず反省を、話しには自信を。
3,まず内容の把握を、そして表現の工夫。
4,人の前ではかたくならず親しみやすく(崩れずに)。
5,マイクを使う場合はマイクとの距離は2~30センチ,
6,正しい姿勢(肩の力を抜いた自然な姿勢で、背筋をまっすぐして)、自然な呼吸。
7,ことばは正しく、品良くわかりやすく。
8,目は一行先を見て、杖の役目を。
9,聞く身になっての話す。
10,親しい友達に話しかけるように(緊張すると冷たくなる)。
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<話すことの基本練習>
1,口の体操(始めゆっくり次に次第に早く、1日目あ行、次の日か行)
あえいうえおあお・・・・・~・・・・・・、わ、が、ざ、ば、
鼻濁音 か゜、んか
拗音 きぁ、しぁ、ちぁ、にぁ、みぁ、ひぁ、りぁ、ぎぁ、じぁ、びぁ
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2、舌を滑らかにする運動と呼吸運動
a背筋を伸ばして、腹いっぱいに空気を吸い込みます。そして口を大きく開けて「アー」と静かに声を出します。できるだけ続けて下さい。20秒、30秒続けば立派です。
b胸いっぱいに空気を吸い込んで、正しいはっきりした発音でレロレロレロ・・・・これも20秒続けば大丈夫です。ロレロレにならないようにします。
c鼻から空気をいっぱいに吸い込み、ゆっくり時間をかけて全部吐き出します。その次は口から吸って口から出す。口から吸って鼻から出す。鼻から吸って鼻から出す。5~6回繰り返して下さい。
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3、鼻濁音の応用
おんか゜く、ごか゜く、みこ゜と、中学校
やまか゜た、じょーき゜、ごこ゜、管弦楽
花が咲く、行ったが留守だった。
君はえらいが気が弱い、連合軍
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4、語尾の母音の無声化
もしもしこちらは○○中学校です。
朝礼台の上にマイクがあります。
私達は毎日授業を行っています。
今晩は大変冷え込むみこみです。
深いため息をつく。
親切な先生、背の低い生徒。
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5、ことば(発音の違い)
柄をつける・・・・・・・絵をかく
顔をふく・・・・・・・・粉を吹く
値がついた・・・・・・・根がついた
雨が降る・・・・・・・・飴を振る
日にやける・・・・・・・火にやける
歯なしの話しは、聞きにくい
人生の秋が来たのか、飽きが来た。
年中行事のその行事には、行司が出る。
道場が焼けて同情された。
剣道の先生が県道を急いで行った。
たたみよりむしろムシロの方がよい。
両家の猟犬を交換する了見。
隅に積んだ炭の中に錫で作った鈴が出た。
養子が用事の要旨を用紙に書いた。
往きに雪をさけながら駅の前で易を見てもらった。
伊賀の栗は以外に大きい
柿を食べながら垣根を作った。
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6、ことば(各音節の発音)

あごのあばたのあと、ああにたり、あの子の兄も姉もあの子も。
慌てる時は、粟を食うのでなく、泡を食うのである。
赤いインクと青い色えんぴつを本の上に置きました。
言い分があって言おうとしたが威圧されて何も言えなかった。
浮かんだ浮きが又沈んで浮こうとする所を引いたが玉網に受け損なった。
瓜売りが瓜売りにきて瓜売りのこし売り売り帰る瓜売りの声。
青は藍より出でて藍より青し。
歌唄いが来て歌唄えと言うが、歌唄いぐらい歌唄えれば、歌唄うが歌唄いぐらい歌唄えぬから歌唄わぬ。
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カッパコの子はカッパコその子もカッパコ、親ガッパコ、子ガッパコ。
上加茂の傘屋が質屋に傘かりて、加茂の帰りに返す唐傘。
加茂、米かみゃ小鴨粉米かむ、小鴨米かみゃ、鴨粉米かむ。
粉米の生かみ こん粉米のこ生かみ
古栗の木の古切り口
菊栗、菊栗、菊栗、三菊栗、合わせて六菊栗
久留米のくぐり戸は栗の木のくぐり戸、くぐりつけりゃ、くぐりいいが、くぐりつけなきゃ、くぐりにくい戸だ。 
隣の客はよく柿食う客だ。
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佐賀の佐々木三郎さんと佐山の佐々佐吉さんが、さる日、さる酒場で皿の鮭を肴に酒をさしつさされつしていたと、さる人が、ささやいた。
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月々に月みる月は多けれど月々に見る月はこの月の月。
東京、特許、許可局の局員。
向こうの格子に竹立てかけた。
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この杭の釘は引き抜きにくい。
長町の七曲がりは長い七曲がり。
長持ちの上に生米七粒。
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頬に浮かべる笑いはホホエミ、頬につける紅は頬紅、頬にかぶるのはホッカブリ、或いはホ-カブリとも言うが、ホーカムリがほんとう。
椰子(やし)の実を狒々(ひひ)が食い、菱(ひし)の実を獅子(しし)が食う。
坊主が屏風に坊主を書いた。
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阿波へ藍買い、甲斐へ繭(まゆ)買い。
お前の前髪、下げ前髪
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<読み合わせ(役割の理解)と本読み(表現の工夫)>
1、どもり口調(驚き、怒り、慌て)
どどこだよ  おおたすけください  ななんです  そそりゃそうだけどさ ででも先生
2、疑問態
誰のうち  えっ本当かい  お散歩
3、命令文
だまりなさい 静かにしなさい 早く来い
4、叱り口調
だめだめ(強く)そんなことしちゃ洋服が汚れるじゃないの(強く)
こんなにおそくなって今まで何やってたの
5、怒り
知らないものは知りません  座れったら座れ  何してんだよ
6、侘び
ごめんなさい本当にごめんなさい。
申し訳ごさいません、佐知子さん私がいけなかったんです。
7、驚き
えっ、自動車にひかれたって。 あっ、台所の方で何か音がした。
8、嫌悪不満
うるさいな、よってたかって。
それはぼくにだってわかるけど、わかっているけどしょうがないじゃないか。
9、切ない訴え
お願いだ、もう一度よく考えてくれ。  ねえ、ぼくが悪かった、本当にごめん。
10、平静
今日は木曜日で21日、そうすると金・土・日 22・23・24・24日が日曜日ですね。
11、穏やかな口調
本当に早いものだ、この間までお花見だの、潮干狩りだのとさわいでいたのに、もうすっかり
秋になってしまったね。
12、促す口調
いいよ、いいよ、もう怒ってないから
さっ、いつまでも泣いてないで涙をふいて。
13、乗り気
もちろんです、絶対にやってみます。
14、笑い口調
あのあいつがさー、あわてて、ウフッ。
プッ、それ、本当。
15、泣き口調
あの頃はよかった 何も知らなかったからさ。
良い方でした 本当に良い方でした。
16、喜び楽しさの口調
模型を作ってると時間を忘れるんだ。
18・19・20 あと三日だ。
17、上がる言い方
もしもし  どなた  あのね  母さん  ちょっと待ってね バスが来たよ
18、下がる言い方
どうして来ないのかな  誰だ誰がこんな事やったんだ  これいくらですか
水曜日の新幹線で上京します。  そういう気持ちは少しもなかった。

19、表現の工夫
(動揺して)     いいえ なんでもないの。
(ちょっと皮肉に)  あまりかってな事言わないで下さい。
(開きなおって)   山田さん。
(落ち着いて)    別に無駄なことをしたとは思いません。
(しみじみと)    もう少し気がつくようになればよいのですが。
(つならなそうに)  アーア、街を歩いている人はあんなにたくさんいるのに。
(明るい声で)    つまり、我らの事務所のスタートだよ。
(けげんそうに)   そう、たしかに私はカバンに入れたんだが。
(元気なく)     財布を落としちゃった。
(キョトンとして)  君も好きだねぇ。
(ムッとして)    さかえちゃん。
(きびしく)     山上さん、私のことはほっといてください。
(やけになって)   じゃ、どうしろとおっしゃるんですか。
(得意そうに)    目立ったわ、この服。
(思い出そうとして) そう・・・・あれは2006年。
(言いにくそうに)  そっ、それが・・・失敗だったんです。
(プンとなって)   ずるいよ、どうしてそんなことすんだよ。
(ややプンとなって) どこが、めいわくなんですか。
(しおらしく)    両方だと都合がいいと思うんですけど寺田さん。
(とぼけて)     あっ、そうか。
(くすくす笑って)  あんがい弱虫なんだな。
(力強く)      新しい証人が来ます。日時間後には必ず来ます。
(耳をすまして)   あっ、聞こえる、ろをこぐ音があんなによく。
(苦笑して)     そういったら、かわいそうすよ。
(穏やかに笑いながら)市子さん、おこっているのでしょう。
(考えながら)    安くって、いいもので、高く見えるものって・・・なんかな。
(ツンとして)    そう。
(つぶやくように)  まだ、美紀子さんは会場にいると思う。
(胸をつまらせて)  一郎君、よかったね。
(大げさに)     それなんですよ、困りました。
(大笑い)      アッハハハハ
(大泣き)      ワー ワー ワー
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(時代劇)  京の都を離れるのがなごり惜しくはないか?
わしの気持ちは決まっておる。そなたも行ってくれるであろう。
(京都言葉) ほんまや、そないことあらへん。すみまへん、お客はんでも見えたら教えとくれやす。
(大阪言葉) どないしましょう。高いものこーてきてえらいどつかれましてん。
(だべ言葉) どこのお嬢さんかと思っただよ、本当に何てまあきれいになっただべ。
(でねえか) おやまスバラシイスーツでねえか。
(だーすけ) こっち座れて、だーすけだめなんだて。

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