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October 04, 2008

核心は鶏冠尾根下降にあり。東のナメ沢 2008年9月27日

Photo

東沢7:00-東のナメ沢出合い8:35-大滝上11:00-鶏冠山13:30-鶏冠谷出合い16:00

奥秩父の深山幽谷たる鶏冠山の奇観は、その名の如く鶏の鶏冠のような岩稜帯が続く急峻な尾根で成り、奥秩父でも一際目立つ存在です。

そしてこの尾根を沿って流れる東沢には、いくつもの見事なスラブ滝から支流が流れ込み、その中でもスケールにおいて出色なのが東のナメ沢の大滝です。

鶏冠山山頂直下まで突き上げるかのようなこの滝を見上げると高さ300m、幅は50mあろうかと思われる壮大なスラブ滝で、見た者を圧倒させます。

今回この大滝へKB氏、M氏とともに行ってきました。300mといえば東京タワーとほぼ同じ高さで、滝は一面蟹の甲羅のようなスラブ滝。純然たる岩登りとも沢登りとも違うこの山行は登攀あり、沢あり、岩稜帯のバリエーションルートありと多彩なものでしたが、核心は滝の登攀ではなく、夕暮れのリミットと戦う尾根の下降にあったのでした。    

○                               

東沢を順調に遡行し、乙女の滝を越え、しばらく歩くと前方に巨大な一枚岩の滝が見えてくる。この沢核心の300mの大滝だ。おぉ―デカイ!というのが素直な感想。ただ、いつ発生したのかは不明だが、出合い周辺と滝の右岸に大崩落が発生しており、出合い周辺は瓦礫で埋まり見るも無残な状況。近年乱発する豪雨の影響か。

出合いにたどり着き、ここで登攀準備。KA氏と僕はアクアステルスラバー仕様の沢靴で、M氏はクライミングシューズに履き替える。

1段目は左岸をフリーで登りきると、滝の全容が見えてくる。幅50mはあろう巨大なすり鉢上のスラブ滝の中央に、わずか数メートル幅の清流が岩をなめるように流れる不思議な光景だ。

Image005

二段目は右岸をテラスまで登り、ここからロープを出す。ファーストは僕。とりあえず定石とおり右岸を35mほど登って1ピッチ。よく岩を探すとボルトが残っている。

つづいて2ピッチはM氏が登る。この辺から高度感がでてくるが、斜面はまだ寝ており、恐怖感は少ない。M氏が無事登り、KA氏がユマールで登っている途中、上からM氏が、あ!っと叫ぶ。ふと見るとカメラがバウンドしながらきれいな放物線を描き、一気に1段目まで落ちていく。この滝は樹林などが全く無いので、かわいそうなカメラの最後を見届けることがでる。Image006

3ピッチは僕が登る。このまま右岸樹林寄りを登ろうとするも、手がかりが全く無い。ほぼ垂直でカニの甲羅のような岩に両手を置き、いざ登ろうとするとジワっと手に汗がでてくる。これは無理だ、他のルートを探そうと水流側のルートを探してみると、クラック沿いになんとか登れそう。とりあえず全員水流側にトラバースし、4ピッチ目はKA氏にリードチェンジ。ハーケンが連打されているものの、クラック沿いに巧みに登っていき、右岸樹林帯の木にピッチをきる。ビレイ中、ふと出合いをみると数名のギャラリーがいる。

5ピッチ目は僕がリード。今度はナメ岩をトラバース。静荷重で、足裏に均一に荷重をかけそっと登ると数m先に残置が見える。近づくと、ハーケンが置いてあるだけ!なんかの拍子に抜けたのだろうか。その場で打ち込み支点を作る。やっとのことでトラバースに成功し、ピッチを切ると、もうザイルが不要と思われるところにでる。あれ?登り切ったのかな?地図で確認するも、崩落のせいで遡行図とだいぶ状況が変わっているようだ。あまり遡行図が当てにならない。とりあえず、登れるところまでのぼってみると、沢が二俣に分かれている。どうやら、大滝を登りきってその先の滝も登ってしまったようだ。

ネットの情報でも、際どいムーブが必要な感じだったが最後はなんだかあっけなく終わってしまった。

とにかくこの大滝を登りきったのだ、みんなで喜びを分かち合い、大休止をとる。ここでM氏は沢靴に履き替え、鶏冠尾根に向かって沢を詰める。ところが大滝以降の沢は倒木がうるさく、沢が荒れている。とくに感動することもなく黙々と登ると、沢は伏流となりついには枯れ沢となった。沢を忠実に詰めたのち、右岸の尾根にとりつき、強靭な石楠花を掻き分け、木の根に掴まりながら登っていく。薮こぎだが、踏み跡は比較的はっきりしている。ほぼ地形図の読みとおり尾根道にでるが、ちょっと北へ登れば鶏冠山山頂なので、ここまで来たし山頂くらい踏んでいこうということで、山頂で休憩。本来ならここで沢装備を解除したいのだが、鶏冠尾根は懸垂下降箇所があり、まだ解除はできないのである。

第三岩稜付近で20mの懸垂下降。支点の木がグラグラだったので、M氏のアングルと僕のスリングをここに寄与することにした。

あとは尾根をひたすら下るだけと思ったが、この尾根は鶏冠山の異名のとおりアップダウンが激しく、なかなか標高が下らない。また鶏冠山は一応バリエーションルートではあり、一般登山道ほど道は整備されていない。なんとか夕暮れ前には下山したいところだ。だが焦る心を笑うかのように、岩を下ったと所に大岩が立ちはだかり、ナイフエッジのような急峻な尾根を歩かされる。

ようやく樹林帯に入るも、土砂崩れで木々がなぎ倒され赤テープが散乱している箇所もあり、ルートを外れる。すぐに戻れたがこのエリアは注意を要する。時計は16時に近づき、黄昏が近づきつつあるが、ここは赤テープを探しながら慎重に行きたいところ。

さらに下ると、右から東沢が、左から鶏冠谷の水流が聞こえてくる。やっと終わりがみえてきて、ほどなく鶏冠谷の出合いにたどりついた。

今回のルートは日帰りルートながらもたくさんの山登りのエッセンスがつまった充実した沢登りとなりました

タイムログ M氏。写真はKA氏のものを転載いたしました。 文・図解 K郎。

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