北アルプスの北の端を歩く:栂海新道(I島)
平成23年8月11日から13日にかけて、栂海新道を歩いてきました。I上講師、I島は前日の10日から富山に入り、夕方には地元の海の幸や地酒などで盛り上がりました。翌朝、5時半にはK野さん、W元さんが合流し、富山駅から泊駅に。泊駅からはタクシーで北又小屋まで行き、そこから歩きが始まります。これはかなり前からわかっていたことですが、当日は地元の朝日中学の生徒さんが集団で好例の登山をする日となっていて、なんと彼ら140人近い生徒さんとそのサポーターの方(生徒の数の三分の一だそうです)が、朝日小屋に宿泊するとのことでした。
8月11日(木)
案の定、北又に着くと生徒さんで小屋前がごった返しており、小屋の主人に、「今からいっても登山道が詰まっていて前に進みにくいから、ゆっくりとでかけなさいよ」とのアドバイスを頂き、それに従いました。午前8時少々前に出発。天候は曇り。イブリ山までは高い木立に囲まれた急坂を進みますが、夕日ヶ原辺りになると、草原も出現し、それまで以上の花を愛でることになります。霧のかかる中、朝日平を歩くとお花畑があちらこちらに出現し、また残雪のちらほら残るところで緑とのコントラストを楽しみながら、午後2時に朝日小屋に到着です。縦走の装備が結構重く、汗をかきかきの山行でした。私たちは朝日小屋ではなく、少し離れたところの管理センターの2階を指定され、そちらで休みました。夕食は噂に違わず、美味な手料理を頂けました。翌朝は、いよいよ栂海新道に入ります。
8月12日(金)
午前5時50分に出発し、まず朝日岳を目指します。この日は良く晴れて、朝焼けを楽しむことができました。朝日岳の登りと下りは、頂上付近を含め、お花畑が随所に広がり、目を楽しませてくれます。朝日が、草花に降りた露に反射して、花々の様々な色彩を引き立たせ、自然のなせる芸術にため息が出るほどでした。美しいという言葉は、このためにあるのではないかと思えるほどでした。朝日岳から下ると吹き上げのコルですが、確かに強い風が西から吹き付けていました。まさに風の通り道で、名前の通りでした。ここは五輪尾根を経由して白馬蓮華温泉に向かう道と、栂海新道の分岐点になっています。私たちは新道方面に向かいます。長栂山から黒岩平の間も、途中にアヤメ平を挟んで、ゆったりと自然の生み出した残雪や草原の緑、点在する池、そして青空、霧などの織りなすシンフォニーを楽しみました。しかし、暑い。なにせ暑い。私は友人のマラソンランナーに教えてもらった炎熱サプリをほぼ1時間おきに摂取し、さらにスポーツドリンクを中心に水分補給して歩きましたが、本当に良く汗をかく山行でした。そうそう、水場は黒岩平の沢水を利用します。
黒岩山から栂海新道は西北に進みますが、この辺りから周りの風景が一変します。いわゆる低山の尾根歩きという様相です。この尾根歩きは暑い!の一言でした。翌日の水分補給も考えて、栂海山荘の手前にある北俣の水場で相当量の給水をしました。水の出方は少ないのですが、とても美味でした。犬ヶ岳の頂上を踏むと眼下に栂海山荘です。私たち4人を含め9人の宿泊者でした。そうそう、2時過ぎには
8月13日(土)
朝、小屋からは遠方の峰峰も見えるのですが、結構雲がわいていて大丈夫かなと思わせられましたが、結局この日も晴れでした。美しい朝焼けを拝んで、5時10分出発です。山荘から北に延びる尾根道を下っていきます。菊石山の手前の黄蓮乗越から少し離れた水場で水を補給しました。この後は菊石山、下駒岳と上り下りが続き、その後に白鳥山への急登が待っています。暑い中さらに汗をかきかきの奮闘が続きました。白鳥小屋は清潔で宿泊したい気持ちになりますが、先を急ぎます。ここからはほとんど下りの山行です。坂田峠の手前では、小さな沢に出るのですが、そこで急水をしました。体を水で冷やすなど、兎に角暑さ対策を講じて、先に進みました。坂田峠からは尻高山の尾根まで登り、尾根歩きが続きます。途中林道を横断し、二本松峠から少々登り返して、一気に日本海に向けて下降していきます。車の通行の音が大きくなると、もう国道8号の、新道の登山口です。4人無事に歩き通せたことに感謝し、握手を交わしました。結構、タフなルートでした。
この日は、親不知の民宿「親和丸」に宿泊なので、とにかくリラックスしようということに。民宿の女将さんとお父さんが車で登山口まで迎えにきてくれました。お父さんが漁師さんなので、夕食はとにかく、豪勢な魚、貝、エビ、蟹の料理で、その量も多く、食しきれませんでした。民宿の皆さんには本当に親切にして頂きました。
翌日は、帰省ラッシュを心配し比較的早い時間に民宿を出ました。午後を少々回ったころにはもう、東京に着いていました。
今回の山行には、登山が持つ魅力や醍醐味が沢山詰まっていました。もちろん、反省点もありますが、忘れがたい、心に滲みる山行でした。
I島記
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