箱根・白銀山(Ino)
箱根・白銀山 山行報告(個人山行)
雪の白銀山頂
山頂手前斜面の笹薮を漕ぐ
日 時:平成27年2月18日(水)
参加者:K澤、I上(L)
天 候:曇り時々雪(文責=I上、写真=K澤)
悪天候等でこれまで3回中止にした白銀山。天気予報は雨か雪だが、兎に角登山口まで行って無理なら温泉に入って帰ろうと決行を決めた。発電所前でバスを降りると薄日が差していた空から細かな雨がパラパラとくる。道路の下を潜ったり沢を渡ったりとややこしかったが、それ程迷う場面もなく尾根取付に到着する。みぞれ交じりの雨はここで本降りとなり、レインコートをはおる。
白銀山山頂迄は尾根通しで南東に向かって一直線、踏み跡はなくても迷う個所はないはずだ。登り出しから斜面は相当急だ。木の根を掴んだりバイルで体を支えたりの連続。暫くすると体は汗でビチャビチャになる。フリースを脱ぎ長袖シャツも脱いでTシャツとレインコートだけになる。雨は間もなく雪に変わるが、気温はこの時期としては高い。寒さを予想して穿いてきた防寒タイツが何とも暑苦しく恨めしい。地面を薄く覆う雪で足が滑りスピードは思うように上らない。露岩帯を過ぎる辺りから笹が出始めやがて腰までの笹藪となる。ただ、ここの藪は手で軽く分けて行けば困難なく、星ケ山付近の太く密集したハコネダケの藪に比べると幼稚園。レインコートの下を穿かずいる為、ズボンはもうずぶ濡れだ。
白銀山山頂への到着は12時40分で尾根取付から3時間もかかっている。気温はかなり低下し、休憩に入ってしばらくすると、体が急激に冷えてくる。びしょ濡れの長袖シャツとフリースを再び着てK沢さんが淹れてくれた熱い味噌汁を啜りやっと一息つく。降雪は本格的となり、辺りの積雪は15cm程か。古びた山名板の横に「頼朝道」と書かれた行先表示板が置かれている。さあ地図読みはここからが本番と緊張が走る。時刻は13時丁度。最近は5時を過ぎでも明るいから、迷わなければ日没前に下に降りられるだろう。夜は冷えるかも知れないが、ツェルトもコンロもあるからビバーグになっても死ぬことはない筈。
地図とコンパスを確認して頂上を出発、老懐山を目指す。頂上を出て間もなく星ケ山への分岐が見つからず、道を間違ったかと一旦山頂付近まで戻ったり時間をロス。道はやがて北東に向きを変え、標高約900mの木立に囲まれたピークに着く。ここは老懐山の山頂904mではなく、北へ50m程行った所がそれと知る。山頂へは寄らず、北西に向かって下る。雪面にはトレースの痕跡らしきものもあるが、人のものか獣の通り道かは判然としない。今日は悪天候の為に展望はゼロで、赤布の類もほとんど見つからぬ為、コンパスと地形図だけが頼りである。
高度計が900mを示す辺りで広く開けた場所に出る。山名標識は見当たらぬが、地形からここが三所山892mとみて多分間違いない筈。一本とって、気持を落ち着け地図を確認する。マップケースを忘れた為に、地図は雨にぬれてもうグショグショだ。破れて読めなくなったらまずいな!少し行くと、踏み跡が消えて先は崖となる。ここはやはり三所山ではなかったのか?どこでルートを外したんだろう?これを下って間違っていたら登返しも大変だ。迷いつつ腹を固めて積雪と藪の急斜面を強引に下る。斜面の途中の木の枝に赤テープが見え、下りきった800mのコル付近では、地図のとおりに北方向に830mの小ピークが。ルートは間違ってなかったぞ!
次の830mの下りは要注意だ。尾根通しに素直に下っていくと沢に降りる破目になる。分かりにくい尾根の二股に「箱根湯本」の行先表示板がなかったら、我々もこの罠に嵌っていたかもしれぬ。次に、小ピークを一つ越えてコルに出、二つ目のピークはズルをして右へ巻く。巻道が終わったと思える地点で時刻を見るともう16時前。日没まであと1時間半だ。踏み跡の薄いこのルートをヘッドランプで歩くのは難しく、ビバーグになる惧れもある。スピードアップを図らねばと先頭をまだ元気なK沢さんに交代し、崩れたフェンス際をズンズン下っていく。100m程下った辺りで何となくおかしいと気づく。このまま東向きに下ると先程と同じ沢に出てしまうのではないか?焦る心を抑えて急斜面を登り返し、尾根に立って辺りの地面を探ると北東方向にかすかな踏み跡。やれ助かったわい。ビバーグにならずに済んだわい!
しばらく行くうち、地面の雪は少なくなり、踏み跡も段々明瞭になってくる。枯葉に覆われた登山道らしきものも所々現れる。もう迷う所はないだろうと歩きやすくなった道を駆けるように下る。ここで雪と枯葉でスリップして3度も転倒し、衣服を泥まみれにしたのは二人のうちどちらでしょう?406mを過ぎる頃には、下界の景色が木の間越しに大きく見え始め、終了点は近いと期待が高まる。もうあと少しと思ったときに、竹藪の手前で踏み跡が突然消える。この山はほとほと最後まで気を抜けぬ山!倒れた竹が地面に重なる荒れた斜面に突っ込むが、どうやら下方は崖ではないか?仕方なく、元の所へ戻って東方を探ると、藪の中に隠れた小さな踏み跡が。
程なく、舗装道路にようやく降り立つ。時刻は5時を過ぎて辺りはすでに薄暗い。ギリギリのタイミングだった。緊張感に包まれた充実した山行だったな!面白かったな!これからの山行はGPS持参は禁止にしよう!
痛む足を引きずりながら箱根湯本駅へ歩く途中で見つけた町民温泉に泥だらけで上がり込み、湯に浸かって駅前での打上会の構想を練る。いそいそと向かった駅前の飲み屋はすべて休みで、計画変更した駅ベンチでの宴会も、発車間際の特急にK沢さんが慌てて飛び乗ったためにお流れ。小田原駅のキオスクで仕入れた缶ビールとワインを電車の中であおり、一人慰労会で気炎を上げたのであります。
以上
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Comments
<雨と雪と藪漕ぎと読図と温泉>
下山するまで誰とも遭わない静かな白銀山。
ふみ跡とトレースの無い道を、地図とコンパスと高度計頼りの地図読み。
(二人ともGPS不所持)
I上さんの計画したバリエーションルートと箱根の温泉。
いろいろな要素を楽しめる良い山でした。
Posted by: 9R38 | March 10, 2015 10:57 AM