雪山1人テント泊(杉原卓二)
登山教室Timtam&Cueは2020年6月から感染症対策をしながら登山を再開しました。日帰りで深くない山を続けて来ましたが、12月の富士山雪訓より宿泊を伴う山も再開します(山小屋や大型テントに泊まると感染リスクが大きくなるので、2人用テントに1人で泊まるスタイルで再開)。山小屋が使えないのは不便だけれど、期せずしてテント泊の練習が付加されることになります。無雪期と異なり、テント場が豊富という後押しも企画を助けています。感染症対策のことを考えると、1人用テントの利用は推奨されてしかるべきものです。ちなみに、荷物整理の下手な登山者が多い2020年現在、1~2人用より2~3人用テントを1人で使った方が快適です。
<参考>大学山岳部とかワンゲル部出身のような人は別として、一般には4人用テントに4人で入ったり、3人用テントに2人で入るのは、とてもく窮屈でつらく感じると思います。テントの中でどこかに行ってしまった荷物探しで焦ることや、テントに接して知らないうちに服やシラフが濡れてしまうなんてことも少なくないです。同泊メンバーのちょっとした気に入らない動作に「ムカツク」こともあります。
雪山の場合は、テントを張る場所に困ることはありません。森の中でなだらかな斜面で藪が雪に埋まってる場所は多く、雪を溶かして水をつくるから水場の近くである必要はありません。雪山のテント泊適地はとても多いのです。問題は寒さです。外がマイナス30度になっても大型テントに複数人で入る場合は、隣の人の体温に温められて快適です。でも一人テントはそれが無理なので、隣の人の代わりにゆたんぽを作ります。暖かい飲み物用のペットボトルに熱湯を入れて、毛糸の靴下でくるめば出来上がりです。500ccのペットボトル湯たんぽをいくつも作ってシラフの中に入れましょう。そうそう、100均ショップ等で小さな漏斗を買って持って行きましょう。ペットボトルの口は小さいので、湯を注ぐ時にそれがこぼれないようにする助けになります。厳冬期用のシラフは大きくて高価です。スリーシーズンシラフプラス、夏用薄手シラフを重ねて使えばかなり暖かいしパッキングも楽です。背中に敷く個人用マットはサーマレスト社の半身用ネオエアサーモが小さくく丸められて良いです。テントの底に敷くのは100均ショップで売ってる薄手のレジャーシートを2枚あれば十分、水取用のビニール袋大きさ60cm×40cmぐらいかな、始めのうちはスコップはなくても大丈夫、などなど、装備については山の道具のページを見て下さい。
登山教室Timtam&Cueにはレンタル用の1人用テント(1~2or2~3人用)が4張あります。アライ、モンベル、エスパース、ダンロップと1張ずつあって構造が異なります。残念ながらゴアテックスが裏打ちされているものはありません(ゴアの扱いがデリケートなのでレンタルに向かない)。テント1人用テントを積極的に使うのは本年が初めてなので、使い比べてみる予定です。現在でも、それぞれのテントに長所と短所が見つかっています。どのテントが良いとは言いずらいのですが、今の所、杉原の主観で言うと、アライテントがベストかなと思います。
テントを買うとテント袋に入っていますが、雪がつくと袋に入りにくくなるので、それより少し大きい袋にいれかえましょう。テント袋やポールの袋はなくしやすいので設営時、中身を出したとたんに袋はテントの中に入れてしまって下さい。テントポールのジョイントをなるべく雪で濡らさないように、それでも撤収の時に氷つくので、それを溶かすにはサーモスのお湯をかけると良いです。
テントにはペグと張り綱が付属しています。ペグがきちんとしたアンカーとして使えるテント場は少ないです(夏山きわめて少数、雪山は皆無)なので、ペグは持って行かずに軽量化しましょう(張り綱は持って行きます)。そうそう、レンタル用のダンロップテントは冬用の外張(フライ)がついています。冬用の外張は嵩張る、設営撤収が大変、入口が狭い、前室が無い、など使い勝手が今一です。烈風さかまく稜線上でテントを張るのでなければ、夏用フライでなんとかなります。冬用の内張というのがあって軽量で扱いやすいのですが、レンタルテントに内張のついているのはありません(残念)。
コンロはガソリンでなくて一般的なガスコンロにして下さい。火事の危険があるのでテントを切って脱出するための小さなナイフをいつも首から下げて下さい。複数人でテントに入っていた場合は1人分にして1日に0.7個ぐらいのボンベ内のガスを消費していました。1人用テントの場合の燃料の量は本年の課題です。寒いとガスに火がつかない場合があります。その場合はお湯を少な目に張った鍋の中にボンベを入れっぱなしにして点火しましょう。トイレットペーパーロールはなにかと便利、トイレットペーパーロールはビニール袋に入れ、そこからぜったいに出さないようにして使います。・・・テント生活のことを書いていたらいくらでも書けますね。例えば樹木のないふかふかの雪の上で張り綱はどうやって張るのでしょうか?・・・とか、わからない場合は質問して下さい。
テント泊はビバークの練習を兼ねています。リーダーやあるいは同行の仲間が、怪我とか天気の急変で動けなくなったら、そして日暮れが近づいて来たら、ビバークを練習していたことが確実に役立ちます(ツエルトビバークの用具はどんな山行で携行して下さい)。
<追記>杉原卓二は 父(光次)が菊田一夫にもらったペンネームです。私(松浦寿)が、時々使わせてもらっています。写真は父のハンコです。
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