神宮川笹の沢(S田 T口)
釜無川水系の沢②
翌週の神宮川は、尾白川左岸、甲斐駒ヶ岳へ続く日向八丁尾根の大岩山を水源とする川で下流部にサントリー白州ウィスキー工場があります。川沿いの林道を歩いていくといくつか堰堤が現れますが、やがて見たことがないほど巨大な堰堤が現れますがここが笹の沢の入渓点です。
笹の沢は白い花崗岩と白い砂床、何処までも透明な水が美しく、快適に登れる滝や直登の難しい大滝やゴルジュと変化に富んで退屈しない沢です。
大きな滝には巻道があり、場所によっては残地ロープも張ってあります。しかし、水流から離れた花崗岩は風化が進んでかなり脆く、足元もグズグスザレザレな箇所が多く、気は抜けませんでした。
笹の沢の終盤に迎える大滝とその先のゴルジュは大高巻きになりますが、ここがこの沢の核心のようでした。
支流のアレ沢をツメてコルに出て沢装備を解き、水晶ナギと呼ばれる白い花崗岩の砂山に向かう不明瞭な踏み跡を辿り、ガスっている登山道へ出ました。下降に使った雨乞岳への登山道は落ち葉が踏み固められた柔らかい道で実に歩きやすい登山道です。展望には恵まれませんでしたが、静かで霧に包まれた森が神秘的で多くの命を育む水が美しい沢が実に印象的でした。
2週にわたって遡行した釜無川水系の沢は南アとしてはどちらも難しいところは無く(ロープは使わず終い)、東京から日帰りが出来る美しい貴重な沢の印象を受けました。
ビバーク適所もいくつかあったので、一泊してもいいかもしれません。
個人的な感想と考察ですが、サントリーの工場のある神宮川は美しい水と巨大な堰堤の存在が大企業と環境の関わり方を考えると興味深いものがありました。より良い製品を作るには綺麗な水が必要で、大規模な土砂災害から工場を守るためには巨大な堰堤も必要になる…
自然の恩恵を授かりながら同時にコントロールしなければならない難しさ。
良いか悪いかではなく、みんなで幅広く考えていかなければならない問題だと思いました。
林道終点に現れた巨大な堰堤。普段、見る堰堤とは規模も造りもかなり違います。この堰堤の下を左岸に渡ると笹の沢の入渓点です。
白い沢床が何処までも続き、水も美しく気持ちの良い遡行です。
登れない大滝には巻道がついてます。
ゴルジュもあります。
奥の大石が沢を塞いでいるのでここも巻です。
先週の尾白川鞍掛沢〜乗越沢と同じ花崗岩の沢ですが、少し雰囲気が違うのが印象的でした。
直瀑12m。登れないのでここも巻です。
この大滝の上のゴルジュ帯は遡行図に不明となっています。ここの巻が核心の様です
大滝の巻の先のアレ沢を詰めて行きます。
不明瞭な水晶ナギへの登山道へ出て、霧に包まれた静かな気持ちの良い道で下山しました。
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