« 懸垂下降バックアップについて(山田) | Main | 私の山の仲間が横浜で個展を開きます(緒方) »

August 25, 2023

確保支点(ビレーポイント)集(K澤)

倉澤さんに送っていただいた、確保支点集プラス、山行の折々に撮った確保支点集です。漸次追加してページごと更新して行きます(更新はTimtamホームページ下段の掲示板でお知らせします)。
写真をクリックすると拡大します。

P1020453
メインロープによるクローブヒッチ連結1
速攻で支点が作れますが、つるべ方式で登る時にしか使えません(万年セカンド方式では使えない)。支点3ヶ以上を推奨します。こちらを見て下さい。

B010_20230825141801
メインロープによるクローブヒッチ連結2
その場にあるハーケンは全て連結してしまうくらいが良いです。

P1020458
流動分散方式
力が均等に分散する。作りやすいので普及している。作り方はこちらを見て下さい。支点2ヶの流動分散でOKとする人が多いですが、支点が抜けた経験がある筆者は、支点3ヶ以上にすることを推奨します。こちらを見て下さい(再掲)。

Kikenn_20230825092301
間違えた流動分散方式
スリングをひねらずにカラビナをかけてしまった例(支点が一つ抜けると全部破壊する)です。

P1020462
流動分散から固定分散に移行
クローブヒッチやエイトノットで流動部分を結ぶ。

P1020464
メインロープによるクローブヒッチ連結をプラス
支点を3個以上にして、確実性を増す。

P1020465
支点3個で流動分散を作る(万年セカンド方式で使える)
作り方はこちらを見て下さい。

P1020469
フリクションヒッチを使って3点に均等に加重(3点分散)
フリクションヒッチの作り方はこちら(動画)を見て下さい。

P1020475
黄色ロープで流動分散を作り固定分散に移り、さらにフリクションヒッチを使って3点に均等に加重(3点分散)(万年セカンド方式で使える)
Kara
結び目にカラビナを挟むとほどきやすいですこちら(動画)を見て下さい。

Ryudouk
改良型流動分散(クワッドアンカーの原型)

Photo_20230825093601_20230829065401
クアッドアンカー(万年セカンド方式で使える)
作り方はこちら(動画)
*支点2ヶでOKにする方がいますが、支点3ヶ以上を推奨します→こちらを見て下さい。


Tateb102
全部60cmスリングで固定分散を作る(万年セカンド方式で使える)
上:ガースヒッチでつなぐ 中:カラビナに巻く 下:何もしない60cm
*クラシックルート(ハーケンで引かれた人気のマルチピッチ)に行くにはぜひ身につけていたい基本形

Image1_20230701153201
熊より大きい岩を支点にする(沢登りで多用される)
ガースヒッチについての考察をごらんください。→こちら

Kiki_20230825104801
腕より太い生きた樹木を支点にする1(沢登りで多用される)
ラウンドターンが基本、ガースヒッチを使う場合もある。→こちら 

Photo_20230825102001
腕より太い生きた樹木を支点にする2(沢登りで多用される)
ロープの片側を引いて回収出来るようにセット

Photo_20230630142701_20230825102001
腕より太い生きた樹木を支点にする3(沢登りで多用される)
岩登りの場合は岩場にある樹木は貴重なので「腕より太い生きた樹木を支点にする1」のようにスリングや捨て縄を施すことが推奨される。

Kannboku_20230706170001_20230825103601
灌木をフリクションヒッチを使って連結する(沢登りで多用される)。

Hasamu2
岩と岩の接触部分を利用する(沢登りで多用される)。
この写真は2段の滝登りの1段目上がった所の中間支点

Ken
懸垂下降の捨て縄
左:懸垂下降の支点の三角形にセット(ロープを回収しやすくするため)
右:危険!誤った使い方(左のハーケンが抜けたら全体に破壊する)
*ロープの回収時に摩擦熱でスリングが痛んでいる可能性があるので、1回しか使えない(残置は使えない)。

<参考1>
P1020500
カラビナバッチマン

P1020497
カラビナバッチマンからバッチマンに移行

P1020494
プルージック

<参考2>
右写真は多くの人が懸垂下降している某人気ルートの支点です。ハンガーはたぶん室内用のジュラルミンです。ボルトの設置方法は不明です。「中でクサビが開くタイプなのでしょうか?」もしかしたら「穴をあけて、ネジ込んだだけ」かも知れません(岩が柔らかい溶岩なので,ネジを切って進むタッピングネジでなくても,ネジ込めてしまう)。外岩に設置されている支点でそれがハンガーボルトなら30KNに近い強度があると考えてはなりません。ビレーポイントや懸垂ポイントを作る場合、ハンガーボルト2個でOKとするのでなくて、ハーケン・カム・自然の岩角・灌木などと連結してなんとか3個以上にすることを推奨します。

Img_3351_20230820041501 22052522455349
左写真:現在のボルト→マニュアルに従って設置(固い岩に,規定の径の穴をあけ,粉を噴き出して,規定の接着剤を入れ,ボルトをしめて中のクサビを開く)されていれば30KNの強度が
出る。ネジの締まり具合でクサビが開いているか確認出来る。ハンガーとボルトは同じ材質のステンレス。
右写真の左:中の状態が外観では確認できないボルト→たぶん中でクサビが開くタイプ。
右写真の右2個:
電蝕したボルト→ハンガーとボルトの材質が異なるので,両者の接合部で電流が発生,腐蝕してしまう(電蝕=錆び)。
*写真をクリックすると拡大します。

<参考3>
ハーケンが効いているかを確認するのに、ピンチェックという方法があります。ハーケンの頭をハンマーでたたいて音を確認し、「キンキン」という高い金属音なら効いていて、「ボコボコ」とか「ボスボス」いう感じの低音なら効きは疑問である、といったふうに耳で感じる方法です。→こちら(動画)

<参考4>
ハンガーボルトが効いているかを確認するにはレンチを持参して、ネジを試すように締めてみます。

<参考5>
ネット上でアプローチ,ルート図,山行記録が簡単に手に入るようになっています。表丹沢の沢数本、西丹沢の沢数本、日和田・つづら・三つ峠とトレーニングを行ってから本番ルートに行くなんて手順を踏まずに、シングルピッチ岩場ゲレンデに数回行ったら、いきなり本番ルートに行ってしまう例が頻繁です。ルート間違えが予想されます(誤りルートは支点が脆弱で落石が多い)。 ルートを間違えなかったとしても、雨・風・雪・流水・地震などにさらされ続ける、本番ルート(沢登り含む)の支点は抜けてあたりまえです。そこにある確保支点にさらにバックアップを加えることをいつも行うぐらいで良いと考えます。ロープワークの中心的な(半分以上を占める)要素が支点構築にあるのです。
Inago-1 Topo

| |

« 懸垂下降バックアップについて(山田) | Main | 私の山の仲間が横浜で個展を開きます(緒方) »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




« 懸垂下降バックアップについて(山田) | Main | 私の山の仲間が横浜で個展を開きます(緒方) »