懸垂下降バックアップについて(山田)
<プルージックバックアップ>
水流の中懸垂下降ではプルージックコードによるフリクションヒッチのバックアップ(以下:プルージックバックアップ)を使う場合には注意が必要です。「水流の中で、懸垂の手を離したとします。プルージックバックアップが効いて、水流の中で停止して抜け出せなくなる可能性があります。」
沢登りやマルチピッチの岩登りをするなら、プルージックバックアップをしない懸垂の練習をしておきたいです。下持ちバックアップの方が懸垂にかかる時間がかなり速いからです。下持ちバックアップする人は上からの落石がよけられる場所にいてバックアップすることを忘れないようにして下さい。
ガイドが、懸垂セットが不安なお客さん(Aさん)から離れる前に、プルージックのセットまでを施しておけば(ビレー器のセットはしない状態)、それがセルフビレーになっているので、Aさんがビレー器の懸垂セットを間違えても、いきない墜落することがなくなります。それで、ガイドは少し安心してAさんより先に懸垂で下ってしまえます。懸垂のセットがしやすい場所(広めのテラスで、肩から胸ぐらいの位置に懸垂の支点がある)であることが条件になります。Aさんみたいな人がけっこう沢やマルチの岩に来る現在なので、多くの山岳会やガイドがプルージックバックアップを採用しているのだと思います。
<下持ちバックアップ>
バックアップをするなら、沢登りで増水して撤退とか、岩登りで雷雨で撤退といった一刻を争うような懸垂に備えて、下持ちバックアップを定常的に使う方が良いと考えています。
①サブリーダーがいればAさんの懸垂セットを見てもらえれば良いです。
②サブリーダーがいない時はAさんの懸垂セットを確認してから、リーダーが先に降り(その間,Aさんはメインロープの傍で動けない)、下持ちバックアップでAさんを懸垂させます。
③落石に当たって、懸垂の手を放す可能性のある悪場を懸垂する時だけ、リーダーのみプルージックバックアップをして、他のメンバーは下持ちバックアップで下ります。
④下持ちバックアップする人は上からの落石がよけられる場所にいてバックアップすることを忘れないようにして下さい(再掲)。
<懸垂下降上から補助>
懸垂の支点が足元にあるなど、Aさんが、「懸垂開始を難しがる」場合や「下が見えなくて怖がる」場合は「懸垂下降上から補助」を使うのが良いです。
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