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January 19, 2024

単独登攀の話(M浦)

 登るにつれて、ロープが出て行き、墜落に対して確実に停止出来る単独登攀のシステムで「これがぜったいに良い!」と言えるそれ(システム)に、まだ出会っていません。一応、Timtamではグリグリを使う方法を採用しています。沢登りの高巻きや救助の場面などでは、昔からある基本型(ロープをザックに上から押し入れておいて,登る分だけ引き出して使う→写真14~20)を使うのが良いと思います。基本型は、中間支点の所で両手でロープを操作します(グリグリを使う方法は片手でOK)が、シンプルで確実です。以下、グリグリを使う方法と基本型を写真をもとに解説します。さらに、解説動画を本記事の最下段付近に張り付けます(現在作り中でまだ1個です)。

写真1 グリグリのPETZLロゴのL側に穴を空けて、細引きを通します。
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写真2 写真1を反対側から見た所
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*プラスチックの穴の強度ですから、10Kg重の力でさえ耐えられるかは疑問ですが、かえってそれが利点になります。グリグリのPETZLロゴのP側の大きな穴でなくて、L側に空けた穴(上写真の黄色細引きの所)に、何かの手違いで墜落の衝撃加重がかかった場合に、壊れてくれるからです。壊れなければ、衝撃加重がチェストハーネスのみにかかるので、肋骨が折れるでは済まない力をクライマーが受ける可能性があります。
*穴を空けたら、改造になるので、メーカーの補償はなくなります。自己責任で改造して下さい。

写真3 三つ目ギリで穴を空ける
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黒い所はプラスチックなので、キリの手作業で簡単に穴が空きます。

写真4 写真5 穴に細引きを通す方法
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セロハンテープと、短い細引き(カモシカのテントの張り綱を転用)を用意。

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セロハンテープを細引きに巻き付けると、グルグリの穴に通せます。

<参考写真>
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グリグリの金属部分に穴をあけた場合(電気ドリルが必要になる)

写真6 単独登攀システムグリグリ型のセット
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①今回は60cmスリング2本をガースヒッチ(右写真の背中の中央部分)で繋いで、でチェストハーネスを作りました。
スリングよりも3ミリ程度の細い紐で作る方が良いと考えます。墜落の衝撃が、腰のハーネスでなくて、チェストハーネスに全面的にかかった場合には引きちぎれてしまうことで、肋骨や頸椎を守ることが出来るからです。また、自己脱出でロープを登ることが考えられるので、スリングはハーネスに吊していつでも使えるように携帯している方がベターです。
②向かって左側の(太ももの所から下に垂れてる)ロープはその末端を頑丈な支点に結びます。
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頑丈な支点とゼロピンとの距離  は衝撃を吸収するため長くする(クライマーの真下より離れた所に支点を求める)。
③向かって右側の(左腰のアッセンダーを通る)ロープの末端側は地面に置いてあって、左腰のアッセンダーに向かってスルスルと上に伸びるようにセットされています(末端に結び目有)。
④左腰のアッセンダーが重要な働きをします。ロープが落ちないようにする働きに加えて、グリグリに向かうロープ(下に固定していない側のロープ)の流れる方向を決めてくれるのです。ロープの流れが意図せぬ方向にあると墜落が止まりません。
⑤意図せぬ衝撃加重に備えて、超細い細引きでレッグループにセットします(ハーネスのギアラックにセットしても良いが,レッグループの方が動作性能が良い)。
⑥アッセンダーは
上にロープが引けて、下に引けない向きにセットします。
⑦アッセンダーとロープ径の選択が重要で、たくさん実験する必要があります。
⑧グリグリは8.5mm径以上のロープで使えますが、8.9~10.5mmで快適に動作するとマニュアルにあります。8.9mm以下のロープを使用する場合は「古くからある単独登攀システム 写真15,写真17」を使う方が良いでしょう。

写真7 下にある左右のロープ
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①左のロープは頑丈な支点に固定します。右のロープはスルスルと上に出て行くように地面に置いておきます(末端を結ぶこと)。 
②左の支点や右のロープ束は、二つ共ルートの真下にあるのが理想、真下であれば登るに従って自動でロープが出ると言われています。でも実際には、「重くて出にくいor自動では出ない」可能性が高いです。なので、必要に応じて、いやむしろ積極的に右のロープを必要な長さ(次に片手が離せる高さまで登れる分プラスアルファ)だけ、アッセンダーの上に引き上げます。そうするとロープがスムーズにグリグリの中を動くようになります。
③クリップの時はアッセンダーの上にロープを90cmぐらい引き上げ、グリグリを通るロープを下に引いて弛みを作り、その弛み(ロープ)をクリップします。

写真8 アッセンダー
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左:マイクロトラクションはベアリングがついていて、ロープの動きがよいです。固定側のロープが真下にあれば、登るに従って自動でロープが出ますが、重い動きです。多くの場合、登る分だけけ手で送り出さなければなりませんが片手のみでロープが送れてクリップ出来る点で、旧来の方法(写真14,写真15,写真17)より優れています。10mm以上径ロープならば墜落を止められる可能性が高いです。
中:ロクテリクスのシンプルアッセンダーはリーズナブルで、マイクロトラクションと操作性はほぼ同じです。
右:シャントはバネがきつく、ブレーキがかかるので、固定側のロープが真下にある場合でも、登るにつれて自動でロープが出ることはありません。でも、バネが強いので、細い8.9mm~8.5mm径ロープでも墜落を止められる可能性が高いです。

写真9 シャント、シンプルアッセンダーをセットする向き

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①ロープは上に引けるが下には引けない。
②シャントの場合はビレーヤーがやや強めにロープを握った感じでロープが動く。
③シンプルアッセンダーは抵抗がない感じでロープが動く。

写真10 墜落が止まる原理
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中間支点が上になるので、グリグリのカム機能が効いて停止します。アッセンダーを左足のレッグループにセットしているので、グリグリのマニュアルにある停止の形になっている点に注目して下さい。

写真11 アッセンダーを右足のレッグループにセットした場合
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グリグリのロック解除用のアーム側にロープが行ってしまいますが、左足と同じように停止します。右足か左足はルートによって変えることが出来ますが、登山教室Timtamでは左足を基本とします。

写真12 写真13 ATCガイド等を使う単独登攀システム
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ATCガイド等(セカンドビレーモードのあるビレー器)をビレー器として使う方がいます。ATCガイド等の場合の方がロープの動きはスムーズですが、衝撃加重に対応するようにビレー器のセカンドビレーモードが設計されていない点を考えるとイマイチ信頼出来ません。なので、登山教室Timtamではグリグリを使う方法を採用します。
*この写真の吊るし方では何かの間違いでチェストハーネス側に墜落の衝撃がかかった場合の対策がありません。引きちぎれる細紐でチェストハーネスを作るか、その細紐を介してビレー器を吊るすべきです。

写真14~20 古くからある単独登攀基本型
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①2本のロープを同じ支点にかけるので、ツインロープシステムになります(∞のマークがついてるロープを使うこと,∞マークがついていない場合は自己責任)
②頑丈な支点(ここでは樹木)に懸垂下降のようにロープをセットします(向きが上向き)。
2本の末端を結びます。
*末端を木に結んで、ロープで1本で登る場合もあります。ロープの長さ分登れます(回収出来るように2本引く場合は半分の長さしか登れない)。1本の場合は上り終えたら所から懸垂下降して、末端の結び目をほどき、アセンダーで登り返して、上からロープを引き上げることになります。つまり2回登らないとなりません。

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2本のロープ束を末端からザックに押し込むように入れます。

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⑤単独登攀用の懸垂下降をセットします(推奨するセット方法)。

*ビレーループ(写真白色)から10cm離してATCで懸垂下降セット。フリクションヒッチ(マッシャー)によるバックアップシステムをビレーループが通っているレッグループ側の穴(下の穴)にカラビナをかけてセット。

*ロープが張った時にフリクションヒッチを下に動かすことでロープを緩めることが出来ます(1回で20cmぐらいしか緩まないので数回繰り返す)。このセット方法だと右手でも左手でもロープが緩められます。

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ビレーループから10cm離さないで懸垂下降ををセットし、フリクションヒッチによるバックアップシステムをレッグループにかけた例
*この写真の場合、ロープが張った時に左手でロープを緩めることになります。右手でホールドを持っていて左手をフリーに出来る場合は良いのですが、左手でホールドを持っていて右手をフリーに出来る場合はロープを緩める操作(右手での操作)が出来にくいです。
*左写真はエイト環の場合です。摩擦が大きいので安心感がありますが、ロープが2本になると手で送らないと動かないです。右写真はATCの場合です。ロープの流れが良くて、ロープ2本でもなんとか流れます
*写真はわかりやすいようにロープ1本で示しているが,実際は2本でセットします(1本セットの場合は2回登ることになりますが、中間支点を残置しないで済みます)。
  

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⑦ザックから次の中間支点までの長さプラスアルファ(Xメートルとします)のロープを出します(左写真の右下に垂れた部分のロープ)
⑧右写真のフリクションヒッチから右下に垂れてからザックに向かうロープがザックから直線的にフリクションヒッチに向かうまで(ピンと張るまで)、フリクションヒッチの中をスライドさせます。右写真の中央のようにループが出来ます(Xメートルのループ)。

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⑨登攀を開始すると、ロープが下降器の中を自動でスライドします。右写真のようにXメートルだったループが小さくなって行くきます 。ロープが動きにくい場合は手動でスライドさせます。エイト環の場合は1本ロープでないと自動でスライドしにくいです。ATCの場合は2本ロープでも自動でスライドしやすいですが、ロープの流れる方向によってはスライドしなくなります。

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➉次の支点は基本的には樹木の間を通り抜けるようにして、カラビナやスリングを使わないようにします。カラビナやスリングを使ってクリップした場合は,回収に下らないかぎり残置になります。
⑪ザックから出した部分のロープの長さがXメートルでは足りなかった場合は、次の支点に行く前に下からテンションがかかってしまいます(左写真の一番左のロープにテンションがかかる)。両手が使える場合は両手で修正して下さい(ザックから不足した長さ分のロープを引き出し,フリクションヒッチをスライドさせる)。両手が使えない場合はザックからロープを引き出し、フリクションヒッチを下にスライドさせると、20cmぐらいずつですが、下からのテンションを緩めて、登ることが出来ます。5つ上の写真(写真16)のセットなら、左右どちらかフリーになった手でフリクションヒッチをスライドさせることが出来ます。
⑫次の支点を通過出来たら、再び、「ザックからその次の中間支点までの長さのロープを出しフリクションヒッチをスライドさせたら登る」を行います(ロープの流れが重たい時はビレー器を通るロープも同時にスライドさせます)。次の次の支点とこれをくりかえします。
⑬登り終えたら。2本のロープのうちの1本を引いてロープを回収します(末端の結び目をほどいてから引くこと)。
⑭1本で登っている場合は、そのロープを固定して懸垂下降で下に戻り、下のロープをほどいて、中間支点を回収しながらアセンダーを使って登り返し、2回目を登り終えたら、ロープを引き上げます。
⑮沢登りで樹木の多い緩斜面を高巻くといった時に有効と考えられます。
⑯救助の場面で、単独でフリーで行けそうだけどちょっと怖いと感じる所を登る時に迷わず、この方法を使用して下さい。

写真20~21 ビレーループと下降器が20cm以上離れた懸垂下降バックアップシステムは墜落時に顔にあたるかも?
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ビレー器をビレーループから25cm以上離して懸垂下降をセットし、フリクションヒッチをビレーループに連結する方法があります(2024年現在の懸垂下降バックアップシステムの主流になっているセット方法)。
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懸垂下降では問題なしですが、急斜面で墜落した場合写真左下のクリップ(実際には右下に位置する)より下に落ちるので、ビレー器が上に跳ね上がって、顔に当たる可能性があります。


解説動画集


単独登攀の準備① 2分36秒
(単独登攀用のロープに取り換え,グリグリの動作実験をする)


単独登攀の準備② 4分54秒
(トップロープソロ,アッセンダーとグリグリを使う)

<参考>
サイレントパートナーという単独登攀専用のビレー器がありました、ソロイストという単独登攀専用のビレー器がありました。どちらも今は販売されていません。

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January 10, 2024

2024年1月入笠山(O野)

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January 08, 2024

2024年1月富士山五合目(O野)

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